コラム

無形資産評価における「DEMPE」とは?

 無形資産の評価という問題については、最近では大企業だけではなく中小企業においても問題となるケースが増加しています。

 例えば、日本親会社と海外子会社(又は海外親会社と日本子会社)とが共同開発を行って得た成果(無形資産)を日本側と海外側でどのように評価(配分)するかという移転価格上の問題や、M&A等に伴い当該無形資産を第三者に譲渡する場合の評価額の算定などの問題が発生しています。

 このような場合に基本となる考え方として「DEMPE」分析があります。DEMPEとは、D:Development(開発)、E:Enhancement(改良)、M:Maintenance(維持)、P:Protection(保護)、E:Exploitation(利用・活用)の頭文字をとったもので、2015年10月にOECD移転価格ガイドラインの第6章が改定された際に導入されました。

 この「DEMPE」という考え方は、日本の移転価格事務運営要領に記載されている「形成、維持又は発展」よりも具体的でわかりやすいと思います。DEMPE機能を多く果たし、それに関連するリスクを多く負担する側が当該無形資産からの高いリターン(又は評価額)を得るべきであり、単に資金を提供していることや知的財産権を法的に所有しているだけで高いリターン(又は評価額)を得るべきでないという考え方は(OECD加盟国の範囲に限られますが)無形資産の機能・リスク分析を行う際に非常に役立つものと考えられます。